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A君のTZR250 キャブレターO/H


今回は、Z32に乗るA君のTZR250、1992年式の初期型の3XVです

YAMAHA最後の2ストレプリカです

いわばこれがYAMAHAの最高傑作となったわけですね

週末のツーリングまでにキャブのオーバーフロー(ガソリンの漏れ)を直してくれとの依頼です

最近バイクばっかりだなぁ 笑
TZR250といえば、私が17の時にTZRの初期型(1KT)に乗っていただけにとても感心のあるバイクです

特にTZRはハンドリングが良く、パワーフィーリングとハンドリングが最高で、とても大好きなバイク♪

このTZRで単車の仕組みとかセッティングとかを勉強しました

本気でレーサーになろうと考えた程、走りまわり、バラしまくりました
なのでこのあたりは最終調整のデータ以外は整備書とかなくても、過去の経験でドンドンばらしちゃいます

この辺りがB型の良い所でもあります

まずはタンクを外し、エアクリーナーを外して、リア側キャブを取り外します

オーバーフローしてもここまで乗って来れた位なので、中身はそれ程汚くなさそうです
つづいてフロント側です

この型からついにYAMAHAもV型になったんですよね

ライバルのNSRやVガンマは既にV型でしたからね

スロットルバルブを外そうとしたら何か変なユニットが着いているぞ

電子制御なのか???
ちょっとひねったりしながら何とか外れました

前オーナーか誰か解りませんが、こちら側を外そうと試みたようですが、外す事が出来なかったみたいで、あちこちに傷跡が着いています・・・

ラジエーターに当たりやすいし工具が入りにくかったもんね

長年の汚れがボディにビッシリと着いています
この後はクリーナーで徹底洗浄です
過去にバラした形跡のあるリア側キャブです

あれれ・・・?

なんか変だぞ?

アーッ!! フロートが思いっきり歪んでいるじゃん・・・

これじゃぁ油面も正確に出ないよ・・・

これが漏れの原因かぁ?
1番怪しいと思われたフロートバルブです
ニードルバルブとも呼びます
この小さなパーツがガソリンをキャブの中に一定量に保つための重要な役割をしています

ここの先端は山型のテーパー状のゴムになっていて、ここが僅かに磨り減っただけでもオーバーフローしてしまいます

ここに摩耗とかは見られませんでした
原因発見しました!!

ここのOリングがダメになっていて、簡単にポロッと外れてしまいました

つまり上の図のバルブが磨り減っているいない関係無しに、ここのガタツキによるガソリンの漏れが原因でした

ちなみに上のバルブとこの部品はセット販売になっていて、1セット¥3,000以上もする高価なパーツなんです
前回のSRX同様、やはり長期間放置してあった単車はキャブによく錆びがまわっています・・・

ペンチで摘まんでいるのがガソリンフィルターです
キャブに入る前にここで大きなゴミを取り除きます

中にはビッシリと錆がつまっていました

ゴミが回ってしまうと漏れの原因にもなるんです
ベットリした汚れはありませんでしたが、細かい錆が多く付着してました

クリーナーを使って徹底的に洗浄したキャブに、新品のバルブセットを組み込みます

さすがは新品のOリングが付くので、入れるときにググッっていう抵抗があります。

Oリングを傷つけないようにオイルを薄く塗ってスルッと滑るように収めます
新品のフィルターです
しかしこれで安心ではありません

さらにガソリンタンクからキャブまでに行く間に市販のフィルターを付けます

これでほとんどのゴミや錆びは除去出来ると思います

オーバーフローの原因はバルブとシートの間にゴミが詰まる事でもよくありますので、こういう所に注意をはらいます
ちょっとここでお勉強です
エンジンが空気を吸い込む時の力を利用して、ストロー状の管を通してガソリンを送るのがキャブレターです

そのストローの先端が下の赤い矢印部です。 充分なガソリンを吸い取る事が出来るよう一定の量に保つ為に、黒い浮き(フロート)があります。ガソリンが減るとフロートが下がります。するとフロートに固定されたバルブが作動し、ガソリンが流れ出てくる仕組みです
真横から見た図です。

黒いフロートがガソリンに浮く事で量を一定に保つのです(水色の線ね)

ストローの先端は正確にはジェットと呼びます。 左は主に高回転側。右側は低回転側です

キャブはインジェクションと違い、負圧で吸い込んでいるんです。 なので、圧縮の少ないエンジンは吸い込みも弱いので始動性も悪いんです
一定量は油面と呼び、各車両ごとに設定値があります

このTZRの場合は15~17mmが基準値でした

新品フロートを1個用意して交換したので測定したら、ちょうど16mmでした

フロント側はバラした形跡が無く、変形も無かったので再利用しました。

同じく16mmでした
ここはパワージェットという高回転域で必要となるガソリンを送り込む通路です

放置車両ですと結構ここが詰まっています。なのでエアガンや細い針金で貫通させます

綺麗になったキャブを正確に組付けて、エアスクリューやスロットルバルブの同調をとって作業は終了です

試乗した結果はとても良好で低回転域からの拭け上がりがとてもスムーズになりました♪